FIFAワールドカップサッカー・カタール大会で、日本がスペインに2対1で逆転勝ちして、2大会連続の決勝トーナメント進出を決めたが、三笘薫選手がゴールラインぎりぎりからの折り返しでラインを割ったかどうかで世界中が騒然となり、最終的に最新のIT技術を取り入れたVAR判定でゴールとなった。
これについて、SE歴25年の立場からVAR判定の妥当性について考えてみた。
◆VAR判定
2022/12/01、サッカーのワールドカップの1次リーグE組最終戦、日本-スペイン戦で、後半1対1の同点の場面で、三笘薫(みとま かおる)選手がゴールラインぎりぎりのところで、折り返しのラストパスを出した。
それを田中碧(たなか あお)選手がゴール前で押し込んだ。
だが、ここで「待った」がかかった。
三笘がゴールライン上でキックした際に、ボールがゴールラインを割っていたのではないかという可能性があるということだった。
ビデオを見る限り、ボールが出ているかもしれないと、実況の解説者も語っていた。
そしてVAR判定に入って待ち状態。
VARとは、Video Assistant Refereeの略で、ピッチ外で映像を見ながらビデオ判定を行う審判員のこと。
今回のカタール大会から、公式球である「アル・リフラ」に、VARのために、ある技術が採用された。
それは、「ボール内臓システム」という映像追跡システムだ。
サッカーボールに「ボール内臓チップ」が埋め込まれ、ボールの正確な位置情報をリアルタイムで追跡できるというもの。
◆ゴールの判定
その後に主審が、ゴールとの判定を行った。
試合の後で、テレビ朝日『モーニングショー』だったか、あるサッカー解説者が言っていたが、VARが導入されていなければ、あのゴールは無かっただろうという。
斜めから見ている限りではラインアウトしたように見えて、たしかにVARが無ければ誤審を生んだだろう。
真上から見て初めて、ラインから外れてなさそうだとわかる。
下記のYouTube動画で、そのゴールシーンが見られる。
冒頭に通常のゴールシーンがあり、中盤頃からは拡大されたスローモーションでも、問題の三笘のキックから見ることができる。
このスローモーションを見て、テレビの解説者が「これ、出てるよー」と言うくらいで、何度見ても、どちらとも判断がつきかねる。
◆「1.88mm」の差
選手たちと聴衆が判定までに待たされている間、「VARルーム」では、VARと呼ばれる審判員たちがボール位置の厳密な測定を行っていた。
その結果として、「1.88mm」の単位で、ボールはゴールラインの外側の端に残ったと判定された。
つまり、ボール内臓の追跡装置は、なんと0.01mmの精度でボールの位置を判断できることになる。
「1ミリの奇跡」などと呼ばれているが、実際はもっと細かい精度の判定が行われていたのだ。
「0.01ミリの奇跡」と呼びたくなってくる。
私は過去に25年間SE(ソフトウエアエンジニア)としてソフトウエアの設計・開発・コンサルティング等を行ってきたが、現代の最高水準のIT技術の故に実現したこの技術は、すごいとしか言えない。
◆新しい日の丸?
このぎりぎりゴールで日本が勝利したことを受けて、世界のネット上では、このような画像が出回っていた。
この画像をFacebookで見た瞬間、正確には5秒くらい後で、何の解説もなかったが、吹いた。
この試合のすべてを1枚の画像で表していて、天才的だと思った。
今回のカタール大会で、このような最新式のVARが導入されていなければ、解説者が言っていたように、日本は不正確な判定によって、その後に1点取られて負けていたかもしれない。
12/3時点で、まだこれから決勝トーナメントで日本がどこまで勝ち進めるかわからないが、決勝まで進めたということは、ラッキーな点があっただろう。